こんにちは。
工事部より、現場見学会で説明しました技術工法についてご紹介致します。
今回現場見学会が行われた工事現場は、
去年10月より着工している 名古屋市役所様発注 の
東山跨道橋補強工事(その6)及び補修工事 になります。
見学会の内容については、
橋脚耐震補強の施工工法として ”乾式吹付耐震補強工法”
の見学を名古屋市役所職員の皆様にしていただきました。
耐震補強工事とは、既存の構造物に補強を施し耐震性能を向上させることで
地震による破損や倒壊を防ぐ工事です。
簡単に言うと、既存構造物の強度を上げる工事となります。
従来の耐震補強工法としては、
”RC巻き立て工法” や ”鋼板巻き立て工法”
が多く施工されてきました。
しかし、今回は 名古屋第二環状自動車道(高速道路)と国道302号線
に挟まれた橋脚であるため、 施工ヤード狭小 や 補強増し厚の制限 など
により従来工法の施工が困難であると考えられました。(図:赤色部分)
各道路と隣り合わせな施工現場になります。施工ヤードが狭小です。
名二環側施工部 国道302号線側施工部
そこで、検討されたのが 吹付工法による耐震補強 になります。
当初設計では、 ”乾式” とは対比の ”湿式” での吹付耐震補強工法を採用されていましたが、
今回の現場環境を考慮したうえでメーカーや施工業者協力の元、工法比較を提示し ”乾式” 工法へと変更していただきました。
上記の経緯もあり、現場見学会の開催に至りました。
乾式吹付耐震補強工法
この工法は、補強用の鉄筋を既存構造物の断面周囲に設置して
設計増し厚に達するまで、特殊なポリマーセメントモルタル(PCM)
を乾式吹付工法で巻き立てることで、既存構造物と補強鉄筋が一体化し
耐震性能を向上させる工法です。
施工フローは、細かく分けると下記のとおりになります。
本工法は、普通コンクリートよりも強度特性や耐久性に優れた特殊なPCMを
使用することにより、補強用鉄筋を既存橋脚面に接する位置に配置できるため
巻き立て厚を従来のRC巻き立て工法の 約20%程度 に抑えることが出来る。
さらに、工程・施工性・品質面において以下の優れた点もあります。
・工程 機械化施工、長距離圧送による施工速度がアップ
・施工性 1回層の施工での厚付けができる
プラントから300m程度の搬送ができる
・品質 高圧、高速で吹き付けるため付着強度に優れる
高密度なモルタル層により中性化や塩害の耐久性に優れる
今回の施工現場においては、
・設計増し厚に対して、湿式の場合3層施工になるところ、乾式施工では2層施工
で増し厚ができる。また、乾式工法ではプライマーも不要なため工程としては
より短縮が図れる。
・狭小な施工ヤード(上記写真)での作業は、資材搬入時に国道302号の規制が
必要となる上に、複数のプラントを設置するためのヤードも不足していたため
工程に遅れを生じる懸念があった。湿式施工はプラントより圧送できる距離
が40m程度に対し、乾式施工は300m程度圧送することが可能となるため、
施工箇所より離れた場所でも設置ヤードを確保できれば複数台のプラント設置
が可能且つ、資材搬入時の規制も不要となるため施工時間のロスをなくせる。
ちなみに今回現場で確保できたヤードは、施工箇所より120m程度離れた
国道未供用地であり、3基プラントを設置しました。
(※湿式施工では、圧送が困難な距離である。)
他にも比較内容がありますが、まさに乾式工法の優れた点で紹介した内容
が全面的に活かされる施工現場環境であったことから、工法変更の承認を
いただけた案件となりました。
(※湿式工法には、乾式工法にない優れた特徴もあり各現場環境により工法選定されます。汗)
さて、現場見学会へと話は戻り
工事概要及び工法内容の説明を聞いていただいた後、
乾式吹付施工状況を見学していただきました。
(見学時点では、当現場もフロー図のように下地処理や補強鉄筋設置は完了している状況です。)
下地処理完了 補強鉄筋設置完了
施工状況見学 吹付状況 吹付状況 施工箇所見学 施工箇所見学 厚付け施工検証
防護服、防護眼鏡、防護マスクを着用の元、吹付状況を見学しました。
工法協会でノズルマン研修を行った作業員さんに施工実演していただき
厚付けしても垂れない(エレファントノーズ:象の鼻のような)施工検証
について名古屋市役所職員の皆様も興味津々で施工箇所を触ってくれました。
無事、現場見学会を終えることが出来ました。
引き続き、落橋防止装置設置など施工は続きますので
工事完了後に工事実績として報告させていただきます。
最後に
名古屋市役所職員の皆様、協力施工業者様
企画開催及びご協力誠にありがとうございました。
株式会社成瀬組
工事部